「里山」という風景や概念には興味があり、地域の皆さんが協力して取り組まれているご活動を聞いたことはありましたが、掘り下げたことはありませんでした。
先日、熊本県森林・山村多面的機能発揮対策地域協議会さん主催の「里山創生2022」というイベントで講演させていただき、熊本では多くの方々が活発に里山の保全活動をされていることを知りました。というのも、林野庁がサポートする事業で、熊本県は全国で2番目に活動数の多い地域だそうで、100近いグループが里山林や森林資源の利活用に取り組まれているんだそうです!共感しかないこの事業の研修会イベントで、「地域の資源を活用して地域活性化」というお題を頂き、天草ヒノキプロジェクトの事例をベースに、マーケティング的な考え方や手法を織り交ぜながら、1時間(プラス質疑応答)お話させていただきました。
私自身、これまでとこれからを考える良い機会となったのですが、至った結論として、地域資源は、地域の人々を有機的につなげ、それぞれの力を出し合えるコンテンツを生み出せること。それを効果的に導くには、根底には問題意識や課題の解決が動機としてあるとしても、やっぱり楽しい活動にすること(楽しさやステキさは人を呼ぶ)、伝わる活動にすること(伝われば、広がる)、社会の共感を生む活動にすること(マスコミや行政が応援してくださり易い)。その結果として、地域が活性化するというのは、経済がまわりだすことももちろんあるのですが、個人や一事業者では成り立たないエコシステムっぽいものをふんわり形成したり、最大の収穫は関係資本が築かれることだと思うのです。
関係資本とは、他の人に対して抱く信頼や、持ちつ持たれつ・もらったらお返しするといった価値規範、そして人々の絆、ネットワーク。
これは数字ではあらわせず、経済合理性やマネー資本主義の価値観では評価されにくいのかもしれません。しかし、災害、コロナ、そして紛争を通して、私たちは、顔の見える関係性、つながり、スモール・ローカルの強さをあらためて見直すことができたのではないでしょうか。個人にとっても、地域にとっても、こうした関係資本が蓄積された状態こそ、持続可能な未来のベースになるように思うのです。
また今は、脱炭素や生物多様性の観点からも、里山保全や地域の自然資源活用というコンセプトはある意味最先端的でもあり、その点においては、企業や次世代など外部ともつながり、その力を取り込んでいけるようにも思います。つくづく、ルールが変わってスモール・ローカルにチャンスがいっぱいの時代ですよね!「楽しかった」「前向きな気持ちになれた」「視野が広がった」という感想をお寄せいただき、嬉しかったです。
熊本県森林組合連合会さん、協議会のみなさま、県の森林関係のみなさま、どうもありがとうございました。熊本で活動される100のグループの尊い活動に私も学ばせていただきながら、引き続き、地方のものごとを自分ゴトとして考え、ふるまっていきたいです。
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