シェア

facebook twitter line

だから木を植えます。

2021.08.01

Posted by haradarumiko

閣議決定された森林・林業基本計画は、森林・林業・木材産業によるグリーン成長を掲げ、「脱炭素へ国産材拡大、30年に35%増」をめざすようです。

国産材拡大はいいけれど、林業というのは、植えて、育てて、伐って(そのあと木材となって人の役に立ち)、また植えて、の循環全体のこと。なので、国産材拡大からの〜また植えてこその林業です。けれど、今の林業、伐ったはいいけど植林がすすまないことが課題としてあげられています。植林がすすまないと、将来の木材生産にかかわるだけでなく、豪雨の増加で災害が頻発するなど、森林のはたらきが発揮しづらくなるといったことも指摘されています。

ではなぜ植林がすすまないかというと、利益が見込めないからです。また、木の成長は急いでも早まらないので、その投資の回収自体、何十年も先のことになります。高齢化し、担い手もいなければ、そんな長期の目線で経営を考えづらいのもいたしかたないことでしょうか。

そんなこんなで、林業用苗木の生産事業者さんは、全国で約850軒(H30データ)にまで減少しているそう。苗木の生産量も大きく減少し、最近は、植林しようにも望ましい苗木が足りないこともある、と。

この動きを横目で見ながら、天草の友人たちから学んだことがありました。東日本大震災やコロナ禍を経て、「世界に目をやると未来には食糧難も」「最後は一次産業が強い」「小さな単位でも、できる人は農業をやった方がいい」「体を動かすと気持ちがいい」「土に触れると元気になる」「日々とても幸せ」ーー。自然にはたらきかけて収穫を得る一次産業の営みは、自然のリズムと共鳴する喜びを直に感じられたり(もちろん同じくらいの苦労もあるとして)、地球や生命に触れる手応えのある行為に思えて、友人たち同様にキラキラ輝いてみえました。私は特にそうしたことには不器用で、勘の鈍さにも自信があったのですが、どうにか一次産業に関わってみたくなりました。

そうして、収穫期を迎えた日本の林業、そのまた先につなげるための「苗を育て、木を植えること」をやってみようと思い至りました。私の場合は農業ではなく林業なのだ、とも。そこから、静かに天草と行き来し(抗体検査しながら)、ひっそりと苗木を植え育てることをはじめました。花の栽培の大先生と、植林もやる製材所、力持ちの若い衆に要所で手伝ってもらっての苗木生産です。

種とり。

苗床づくり。

種を植える。

芽が出る。(発芽率の低さよ…泣)

草をひく。

間引くタイミングを逃してしまったままに、ぐんぐん育っている現在。

天草に行って畑で汗だくになって苗の面倒をみるのが、コロナ下の楽しみの一つになり、自分自身も元気づけてくれました。人生における時期的にも、世代における役割的にも、「次の世代につなげる」ということを意識していたこところでもあり、未来の林業を思い描きながら。

とはいえ!この苗木を育てるという作業、これをビジネスにするなら、どうがんばっても、逆立ちしても、とってもとっても採算があいません。笑うしかないほどに!(プロの苗木屋さんだったらもっと生産性を重視されるのでしょうけれど。)持続可能な林業、循環型の森林経営、この厳しさを身をもって感じます。

時代も変わりました。産業全体のためにも、これまでとは違う目線が必要かもしれません。木材生産以外の森林の活かし方や、林業に別の収益を生むアイデアを見つけられないか?といったことを考えています。なにかとクローズドな業界のように思うので、いろんな方にアドバイスをいただいたり、よりオープンに、林業の端っこにでもゆる〜く関わっていただけたなら、そこから何かひらけていくかもしれません。

まずはこの苗木を、来年の春、天草の山に植林します。意外にも「植林したい」というありがたいお声も聞こえてきて、ご興味のある方に参加いただけるよう、準備をしていきたいと思います。