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つながる林業について

2021.07.15

Posted by haradarumiko

突然ですが、林業について考えたことはありますか?多くの方は、農業や水産業と比べると、林業は距離が遠いと感じていらっしゃるかもしれません。

私の実家は、祖父の代から製材所を営んでいます。祖母の生家も「山伐りどん」(山で木を伐って里に出す職業をそう呼んだそう)で、祖母も木を伐り出す作業のお手伝いをしていたようです。祖母から聞いた話ですが、ある日の午後、作業に疲れた祖母がうとうとしていたら、タヌキがやってきて、大きなしっぽを斧のようにつかい、ついに木を伐り倒してしまった、と。「夢じゃないの?」と聞いても「夢じゃない」と祖母は真顔で言ったので、私もタヌキの伐採を半分信じています。また、祖父からは、山の作法や山の神様の話を聞きました。

そんな物語を聞きながら林業にまみれて育った私なのに、社会に飛び出し進んだ先は、グローバル資本主義の世界でした。合理性、生産性、効率、成長、スピード、拡大、、、そんな価値観が刷り込まれた頭でふと家業の林業を振り返った時、やりきれない気持ちになりました。林業という産業のあり方や時間軸が、経済の動く方向とスピードから外れたところに取り残されていたからです。でも、どんなに動きが早く、簡単便利な世界になっていこうとも、森林生態のスピードに寄り添ってしか成り立たないのが林業というものです。そして、経済成長への集中は、ウイルスの発生とも無関係ではないことがわかりました。経済の視点でみるとちぐはぐであっても、林業とそのまわりにある産業、木に関わる職人さんたちの技や知恵は、けっして失われてはならないと感じました。

気候危機、SDGs、生物多様性、カーボンニュートラル、、、そういった文脈でも林業を語ることはできますが、つきつめると、単純です。木が好き、自然界と人の力を合わせた営みが尊い、だから未来にもずっと続いてほしい、以上。です。

林業に限らず、一次産業とその周辺にある方々から教えていただいた自然と共鳴する職業感に敬意を払いながら「つながる林業」をはじめてみようと思います。ただ、心地いいから、楽しそうだから、そういう気軽さで林業のはしっこに触れていただけたら嬉しいです。