シェア

facebook twitter line

林業は温暖化防止のためにあるわけじゃない

2022.08.03

Posted by haradarumiko

木材生産を目的として植えられた杉やヒノキは、だいたい50年くらいで木材として使用できる適齢期を迎えます。

天草の場合は、土地が痩せていて木の成長も遅いため、よその産地より年月が必要かもしれません

伐採の適齢期(というか「木材として利用するにはそこそこ育ったので、もうそろそろ伐採してもよいですよ〜」という時期)を迎えたのちも、杉もヒノキも急に立ち枯れていくわけではなく、この先もずっと生きていきます。

たしかに、高齢になっていくと成長力が鈍り、光合成で二酸化炭素を吸収・固定する力も衰えてはいくでしょうけれど、木材としての価値はあり続けますし、なんなら長い年月をかけて育った木の風情は、素材としての木材利用とはまた別の存在価値も生まれてくるようにも思います。それらがしっかり根を張って生き続ける人工林は、防災や水源の涵養というはたらきだって維持し続けます。

林業は、木材を、できるだけ価値を高く生産していく産業です。なのに、本来の林業や森林のはたらきから視点がずれているのか、適齢期〜高齢の木が脱炭素や温暖化防止的には役目を終えたというような発言が聞こえてきたり、それを理由に伐採をすすめるような動きは、なにか違うように思います。

「脱炭素」「温暖化防止」は今の時代の重要なフレーズで、林業に木材生産以外の新たな価値が生まれているのも事実。それを林業関係産業も推進力にしていかなければならないとも思う 一方で、森林に過度な期待や役割が課され、本来の林業とは少しズレたうねりや動きに巻き込まれてしまわないように注意せねばならないようにも思うのです。