都市部で、木造の高層建築の計画やら竣工の話題が増えてきました。
コンクリートだらけの街中建築に、木の面積が増えたら、見た目にも心地よいし、ステキです。
2015年のパリ協定とSDGs、脱炭素、政府のグリーン成長戦略などもあって、さまざまなところで木が見直され、ウッドチェンジの行動もこれまでとは違う文脈で広がりつつある、その顕著な動きかと思います。
おかしな木質バイオマス発電や、一見SDGsっぽく見えるウォッシュなものもあるけれど、いろいろが混じりあって価値観が置き換わる過渡期の今は、チャンスもいっぱい。総論、林業や木材関係産業にとって悪くない時代であるはず、です。
木は、植えて、育てて、伐って、使って、リサイクルもリユースもできるし、また植えて、育てて、半永久的に生産と資源循環が可能な素材。その営み自体が、たくさんのはたらきを持つ森林の育成、保全にもつながるのだから、なんて素晴らしい資源なのでしょう!
環境や資源を保全しながら経済の発展を真剣に本音ベースで考えるときに、折り合いがつかない矛盾にぶつかりがちです。でも、木材という素材の生産と使用は、なんと折り合いがつくんです。
脱炭素的にも、樹は、育つ過程でCO2を吸収し、木材になってもずっと固定し続けるという優秀っぷり。鉄やコンクリートに比べると、素材として生産する際も、廃棄時も、排出するCO2を大きく抑制できます。それが地産地消となると輸送にかかる環境負荷も低減して尚goodです!
循環型経済の観点と木造高層建築の話題性から、ESG投資のこの時代、木材関連銘柄にも今注目が集まっているそう。そんなこんなで非住宅の木材界隈が華やぐ昨今、その源流にある国内林業を見ても、どうも無縁の様相です。。。
政策はひたすら量を出す方向を向いていますが、地域に密着した小さな林業は、大規模集約効率化の方向に走るわけにはいきません。流行りのCLTにも手は出せません。地域が規格材の大量生産を目指し始めようものなら、地域にあるストーリー性、文化、職人さんの技術、伝統、そういったものがスカスカになっていきますから。地元で「おじいさんが植えた木で家を建てたい」という声があれば、小さい規模でもなんとか伐採し、製材し、地元の工務店さんが、施主さんの理想の暮らしに寄り添った住宅を一軒一軒建てていきます。本来、木は、工業材と同じようには扱えない素材なのですから、一本一本の木と向かい合い、全体で努めて価値を高める工夫が必要です。なかなか難しい問題の中でも、どうやって収益を上げ、担い手を育てていくか、、、小さい規模で、当たり前の思考と生産サイクルを見失わないようにしなければ、です。
小さな林業、その周辺を支えてくださる職人さんと連携しながら、これらの価値を上げる・新しくつくる・伝える方向へ、小さなできることをやってまいります!今年はようやくリアルな動きができそうで(できるのか?)、「木×食」の小さなフェア、木育×インターアクトなど企画中です。またお知らせしてまいります。