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カーボンもプラスチックもオフセット(相殺)してる場合ではないと思うのです。

2021.08.08

Posted by haradarumiko

「プラスチックオフセット」という新しい言葉を耳にしました。

プラスチックオフセットとはプラスチック版のカーボンオフセット(CO2相殺)のこと。プラスチックの廃棄者がプロバイダーから廃棄価値相当のクレジットを購入して、廃プラの抑制事業に対して間接的に資金を提供する仕組み。これにより購入者は「廃プラの相殺」を表明できる。

出所:alterna https://www.alterna.co.jp/

カーボンオフセットのプラスチック版、新しい環境金融商品のようです。

* カーボンオフセット:自ら温室効果ガスの排出削減の努力をしながら、削減が困難な排出量について、他の場所で実現した排出削減・ 吸収量等を購入することなどにより相殺(オフセット)すること。

脱炭素への取り組みは、世界も日本も全力ですすめるべきだと思いますが、カーボンオフセットや排出権取引の話になると、正直よくわからなくなります。

*排出権取引:排出権を、金融資産として売買することを目的とした市場取引。世界各国の経済状況や気候変動枠組み条約締約国会議の決定等によって排出権の価格は変動する。

森林・林業は、京都議定書以降CO2の吸収源としての役割を担わされることも多く、そうした観点でお金が環流することはいいことだと思います。

一方で、オフセットとか排出権取引とか、間接的なお金と引き換えに、本当の解決が先送りされたり、免罪符になったり、自然環境に負荷をかける企業活動の存続をゆるすことにもなるのではないか、とも思うわけです。

カリフォルニア州で燃え続けているDixieFireは、東京23区の2倍の面積をこえて広がり、森林地帯だけでなく小さな町をも焼き尽くしています。その映像はまるで映画のようで、本当におそろしいです。トルコでも、ギリシャでも。。。

写真出所:AFP BBNEWS 米カリフォルニア州グリーンビルで猛威を奮う大規模な山火事「ディキシー・ファイア」(2021年8月5日撮影)。(c)JOSHEDELSON/AFP

森林火災が発生する原因には、自然発火と人為的要因(温暖化等)がありますが、気候変動の影響が大きくなっていること、また増える森林火災によって温暖化も進むという負のスパイラルへ。自然からのサインが次々にあらわれている今、オフセットとかクレジットとか、わかりにくい数字合わせをしている場合ではないと思ってしまうのです。やらないよりやった方がいいかもしれませんが、これまで以上に切実に、待った無しのスピード感をもって人間活動を変えていかなければならない時代に突入し、一番大事なのは、プラスチックもCO2も、発生そのものの抑制であることを忘れてはなりません。

それにしても、待った無しの時代にあっても長い時間がかかってしまうのが林業という産業。だからこそ、ちょっと先の未来に目線を合わせて、木を育て、いかして、また植えていく、素直で健やかな活動をみつめ、すすめていきたいです。