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人が自然に同調する理由

2021.09.05

Posted by haradarumiko

人はなぜ自然を心地よいと感じるのか?そのキーワードはリズムとエネルギーにあると思っています。

私たちの身の回りには、様々なリズムがあります。電気のエネルギーで動く電気製品のリズムは、規則正しく制御され、その規則的なリズムが乱れると気持ちが悪いものです。一方、自然現象のあらゆるリズムは不規則です。例えば寄せてかえす波、焚き火やろうそくの炎、星の瞬き、木漏れ日、そして視覚的なパターンとしての「木目」もそうです。これらは不規則ではありますが、ただの不規則ではなく、そこには調和がかくれているといいます。それが、1/fゆらぎです。

人の体の中にあるリズムにも、例えば心臓の心拍間隔の精密な測定で、1/fゆらぎが発見されているそうです。そして、この1/fゆらぎは、人だけでなく、あらゆる生体のリズムにあらわれるのだそうです。

また、人の体のほとんど全ての細胞の染色体には、時計遺伝子が組み込まれていることがわかっています。いわゆる体内時計というもので、脳の中枢に主時計があり、全身の細胞に抹消時計があるようです。太陽の光にも関わりながら、私たちの体が、夜になると休息状態になり、朝を迎えるとリセットされて活動的になるのも、体内時計が生体のリズムを刻んでいるからなのですね。血圧や心拍の変動、ホルモンの周期も、この体内時計が刻む生体リズムのひとつで、複雑なリズムが全体で調和し合って、精巧なはたらきで生命を維持できていることに驚きます。人だけではありません。動物、植物、菌類に至るまで(!)地球上のほぼ全ての生物が、生体リズムを刻む時計を体内に持っているのだそうです。

それにしても、この生体リズムってどうやってつくられたのでしょう?

生体リズムの中でも、サーカディアンリズム(概日リズム)という24時間周期のリズムがあり、これは、太陽の動きをもとにした地球の自転周期の24時間と、公転周期の365日に一致しています。ホモ・サピエンスの誕生から20万年、地球上でずっと繰り返されてきたこのリズムが私たちの遺伝子の中に組み込まれているのは、少しも不思議なことではありません。

そして、自然界の現象も、サーカディアンリズムをベースにして1/f特性でゆらいでいるのです。

例えば、木の断面にあらわれる年輪は、木が生きてきた年数を示すといいますが、年輪は、冬と夏で木の成長の速度が違うことからできるものです。濃くて細い線(年輪となる線)が冬目、薄くて広い部分が夏目です。木も、人と同じように季節のリズムを生きていて、その年輪幅には1/fゆらぎが存在します。

インテリアデザインセンターOZONEの調査だったお思うのですが、「好きなインテリア素材」に関する調査で、調査対象の全年齢で男女ともに木が一位にランキングされている結果を見たことがあります。木が好まれるのは、つきつめると、人と同じリズムを持っているからではないでしょうか。そのリズムを生み出した大元のエネルギーの供給源とサイクルは、太陽です。木目調のプリントや合板にも、視覚的には1/fゆらぎがあらわれているのでしょうけれど、私たちは、本来、目に見えない情報をも感じ取る野生の感覚を持っているはずです。少なくとも触れるとすぐにわかります。

波の音、カエルの鳴き声、そよかぜ、森の中で触れるさまざまな環境情報、人も生物も自然も、同じ性質と周期のリズムを持っているからこそ、同調し、共鳴し、その中でエネルギーを交換したり補充することができるのだという説に出会って、自然と完全に調和した体験が、ストンと腑に落ちました。

都市部では、そうした音や信号がかき消されたりブロックされたり、情報が多すぎてキャッチしづらくなることが多いので、時々欠乏症になることも。笑

サプリを飲んでジムでエクササイズしたり、マッサージなどのトリートメントもよいけれど、自然のリズムに周波数を合わせることで得られる穏やかな充足感も、私にとって欠かせないものです。